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■四六判上製・平均300ページ |
“ミステリの父”コリンズ ディケンズとならび19世紀後半の英国小説界を代表する作家であり、「近代長編推理小説の祖」と呼ばれるウィルキー・コリンズ。物語作家として高い評価を受けながら、日本ではいままで紹介されることが少なかった彼の、長編・中編小説を精選、すべて新訳でおくる。 |
ウィルキー・コリンズ
(1824-1889) (William) Wilkie Collins 風景画家ウィリアム・コリンズの長男としてロンドンに生まれる。 |
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各巻収録内容 | |
第 1 巻
バジル |
資産家で誇り高い旧家の次男バジルは、ある日偶然出あった美貌の娘に心を奪われる。恋情はたちまちにして燃え上がるが、彼女がリネン商の娘と知ったバジルは愕然とする。商売人の娘との結婚を父が許すはずがない。思い悩んだ挙句、彼は、夫婦として暮らすのを一年間待つというリネン商の条件をのみ、自分の家族には秘密で結婚の契約を交わす。しかしその一年は長く、予期せぬ危険を孕んでいた。 『白衣の女』の成功を予感させる初期の最高傑作。 |
第 2 巻 ならず者の一生 |
世間体を重んじる父に勘当されたフランクは借金を重ねて獄中の人となり、出所後は絵筆で怪しい生計を立てる。そして一目惚れの恋はまたまた人生の裏街道へと彼を導いていく。(『ならず者の一生』) 名うての悪女ナローナ伯爵夫人は財産目当てでウェストウィック卿と再婚するが、卿のかつての婚約者アグネスを一目見た彼女は自分がこの無邪気な女性によって裁きを受ける運命にあるという妄想に取り憑かれる。(『幽霊ホテル』) ユーモラスで軽快なピカレスクロマン、ヴェネツィアのホテルを舞台にした幽霊譚の二編を収録。 |
第 3・4・5 巻 ノー・ネーム |
19世紀のイギリス、サマセットシャー。クーム・レイヴン邸に暮らすヴァンストン一家は幸せそのものだった――アメリカから一通の手紙が届くまでは。 思いがけない不運によって財産と名前を失い、恋人とも別れなければならなくなった18歳の妹娘マグダレンは、その美貌と才気を利用して大胆不敵な復讐を企てる…。 型破りなキャラクターとサスペンスフルな展開、ユーモアにあふれた語り口で読むものを惹きつける、コリンズ最盛期の傑作。 |
第 6・7・8 巻 アーマデイル |
1832年ドイツの保養地。英人素封家アラン・アーマデイルは死の床で自分が相続した財産に関して恐るべき告白をする。そして自分と同じ名前を持つ息子と、やはり同じ名前を持つ仇敵の息子を決して会わせてはならないと遺言。時は流れ、1850年、イギリスはサマセットシャの漁村でその出会いが実現する。何も知らぬ二人の間には固い友情が育つが、やがて彼等の前に過去の因縁に深く関わる美貌の妖婦が姿を現す――『白衣の女』と『月長石』の間に書かれたコリンズ全盛期の傑作。 |
第 9・10 巻 夫と妻 |
片時も離れず育ち、実の姉妹以上の愛情と信頼を寄せ合ってきた二人の娘、アンとブランチ。しかし、ある日突然、書置きだけを残してアンは失踪してしまう。有名な運動選手ジェフリーとの秘密結婚が目的だったが、ブランチの婚約者アーノルドも巻き込んで事態は思わぬ展開に…。当時の婚姻法の落とし穴が引き起こした実在の事件をもとに、法の不備を訴え、スポーツ礼賛の風潮を風刺した娯楽小説。 |
第 11 巻 法と淑女 |
早くに両親を亡くし、叔父に引き取られて田舎で暮らしていたヴァレリア・ブリントンは、釣りにやってきたユースタス・ウッドヴィルに偶然出会う。激しい恋に落ちたふたりは周囲の反対を押し切って結婚するが、ユースタスの過去にはある秘密が隠されていたことがわかる。ヴァレリアはその謎の解決に果敢に乗り出していく。愛する夫と生まれてくる子供のために。 『月長石』で近代長編推理小説の礎を築いたコリンズが、女性素人探偵の活躍を描く秀作ミステリ。 |
第 12 巻 毒婦の娘 |
1828年9月、ロンドンとヴュルツブルクで二人の男が妻を残して死んだ。 二つの遺言が次々と驚くべき事件を引き起こす。貴族から身を落とした高慢な未亡人が「ボルジアの毒」を手に生と死をあやつり、権力の亡者となって破滅へと向かう。 精神病院から救い出された男、高潔な信念を持って意志を貫く行動派の女性実業家、錬金術に没頭する謎の科学者、生涯一度の恋に溺れる純朴な老人…。個性的なキャラクターがドラマを引き立てるコリンズ晩年の秀作。 |