瀟湘八景 しょうしょうはっけい
―詩歌と絵画に見る日本化の様相―

《原典講読セミナー 8》

堀川貴司 著/国文学研究資料館編
四六判並製・
226ページ/品切
ISBN978-4-653-03725-5


瀟湘とは長江中流の洞庭湖に注ぎ込む湘江とその支流瀟水、広くは洞庭湖とその南の長江支流の流域を指す。この景勝地に設けられた八景は水墨山水画の画題や詩題として親しまれている。日本では鎌倉時代後期、禅僧による受容が始まり、室町時代には五山文学の隆盛と共に、五山僧、将軍家、貴族らの間で、瀟湘八景図、詩、和歌が大いにもてはやされ、各地に瀟湘八景を模した「○○八景」が生れた。近世、その享受は庶民にまで広がり、爆発的な流行を見せる。こうした「瀟湘八景」の受容・変貌を丹念にたどり、詩歌と絵画を中心に、「漢」のものを「和」に融合させる日本の中世・近世文化の様相に迫る。

【主な収録内容】
第一講 中世における移入と展開
瀟湘/八景/中国における成立/中国における展開/朝鮮における受容/日本への移入/博多八景/等持院屏風賛/大慈八景詩歌/大慈寺十境/畠山切/『雲巣集』との本文異同/南京八景詩歌/相府十境/高倉御所の瀟湘八景賛/東山殿八景/享受の広がり/一休の瀟湘八景詩/瀟湘八景和歌/景南英文勧進八景詩歌/実景への投影/「和」と「漢」

第二講 近世における普及
普及の様相/集成の動き/伝・玉澗作八景詩二種/扶桑名勝詩集
―「○○八景」の集成―/近江八景と金沢八景/八景のパロディ/帝王の八景―修学院八景・日光山八景―/大名の八景―偃戈園十景ほか―/豪商の八景―垂裕堂八詠・座敷八景―/信仰の八景―厳島八景・泉山八景―/文人の八景―東山清音帖―/庶民の八景―歌謡と浮世絵―/八景批判―「和」と「漢」ふたたび―

第三講 中世と近世をつなぐもの ―注釈と版本―
伝・玉澗詩の普及と注釈の発生/抄物のいろいろ/玉澗@の抄物/東山本系統の冒頭部分/東山本系統の「山市晴嵐」注/両足院本・臼杵本の注釈/玉澗Aの抄物/叡山本の二種の注/神宮本/早大本・延宝版本/@とAの違いがもたらすもの/版本
―書籍目録の記載―/版本のいろいろ―書道手本―/版本のいろいろ―絵入本―/版本のいろいろ―注釈あるいは集成―/八景・九相詩・十牛図・二十四孝/版本化の意味

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