中宮物語絵巻の研究

絵詞研究会編
A5判クロス装・218頁・全図版カラー口絵
税込5,060円(本体4,600円+税)
ISBN978-4-653-03966-2
【2006年5月刊】


 「中宮物語絵巻」は白描物語絵の系譜をひく室町初期の優品。残念ながら物語の後半は失われているが、悲恋物語であると推論されている。
 本書は、美術史・国文学の共同研究を目的とした絵詞研究会による同作品についての研究成果。影印・翻字・釈文・現代語訳と、5本の論文を収録する。さらに原本の全図版(カラー口絵)を添え、美術・文学の両面から解読していく。

・中宮物語絵巻について
 ……若杉準治
(京都国立博物館学芸課列品管理室長)
・中宮物語解説
 ……安達敬子
(京都府立大学助教授)
・「紅の涙河」小考
 ……松本昭彦
(三重大学助教授)
・物語と社寺
―中宮物語絵巻理解のために―
 ……新間水緒
(花園大学教授)
・中宮物語絵巻の下絵制作
―凹線を用いた下絵―
 
……河田昌之(和泉市久保惣記念美術館館長)

〈中宮物語絵巻のあらすじ〉
春日社の参詣で、とある姫君に一目ぼれした宮は、その姫君を忘れられずにいた。偶然友人の中納言の妹が自らの探す姫君だと知り、密かに通うようになる。姫君も次第に心を許し、二人の縁談も決まる。しかし婚礼当日、姫君の失踪が発覚。姫君に懸想する男に盗まれたのでは、と宮たちは行方を探す。一方、姫君をかどわかした男は我が身に代えても姫君を守ろうと決意しているが、姫君は今にも絶え入りそうに恐怖におののいている。……この後は失われており、おそらく姫君と宮は会えないまま生涯を終えるだろうというのが専門家の見方である。


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