東都武家雅文壇考
松野陽一 著
A5判・上製・510ページ
税込4,950円(本体4,500円+税) ISBN978-4-653-04112-2【2012年10月刊】
江戸の堂上系武家歌壇の基礎研究書
17世紀中ごろ以降、藩毎に、上方公家で歌学を学び詠作能力を身につけた地下歌人を藩歌壇の指導者格に迎え、高い水準の歌作が行われるようになった。本書はこの時期から、幕末に至る江戸武家歌壇を対象とした、江戸の堂上系の武家歌壇についての基礎研究書である。
従来の近世和歌史では、ほとんど問題にされてこなかった未開拓領域における道標として、今後の研究に資するものである。
<目次>
序 論
T江戸堂上派武家歌壇について
(1)「関東歌道系伝」と「霞関集作者目録」
(2)明和安永期江戸歌壇と澁谷室泉寺―伊藤松軒の周辺―
(3)楽翁文人圏の和歌空間―歌学方北村季文の役割―
(4)北村季文『詠経語和歌百首』の論語受容
U東都撰集書誌稿
(1)私撰和歌集解題
(2)鶏鳴霞関集(初撰本 石野広通撰)本文考
(3)東国(あづまの)風流(くにぶり) (大野広城撰)
(4)亨弁・広通の書誌補考
V東都雅文の世界
(1)創作和文と文章規範―「和文題」集成稿―
(2)古典研究『源語演説鈔』(石野広通)
W江戸歌壇の外延
(1)林笠翁(林子平の父)伝考
@伝記―逃亡・流浪の幕臣の生涯(江戸―信夫―常総―仙台)
A家集『野山の風』論
B翻刻『野山の風』
C著作略解題/『儀式考』/『百人一首螢火編』
(2)伊達藩文臣〈荷沢畑中盛雄〉書誌
@国字著作編
A華字著作編 付 翻刻『滕太問答』
(3)由比演徴・演義の歌業―佐倉堀田藩歌壇と江戸歌壇―
余説 江戸武家雅文壇と諸藩歌集
関連論文・翻刻・注釈一覧
初出一覧
あとがき―狩野文庫から見えたもの―
【著者】
松野陽一(まつの・よういち)
国文学研究資料館元館長
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