京の酒学
臨川選書 33
吉田元著
四六判・並製・紙カバー装・256頁
税込2,200円(本体2,000円+税)
ISBN978-4-653-04228-0【2016年2月刊】
狂言「餅酒」でも語られるように、かつて京都酒は「都の酒」として地方の人びとの憧れであった。
全盛期には市中に300を超える酒屋がひしめきあい、日本一の酒としてその品質を誇っていた。し
かし、度重なる戦乱と災害、そして池田や伊丹、灘をはじめとする新興生産地の台頭によりやがて
京都酒は衰退の時代を迎え――
いにしえから今日にいたる酒づくりの歩みをたどりながら、歴史・技術・文化にいたるまで、洛中
洛外京都酒のすべてを網羅し、その栄枯盛衰を描き出す!
現在の京都酒をより深く味わうための必読書!
<目次>
まえがき
第一章 酒のはじまり
(京都の酒/さまざまな酒/糖分の酒/でんぷんの酒/麹/醸造酒と蒸留酒/日本酒の技術/酒の色、味、香り)
コラム 未来に向けて
第二章 古代の酒
(民族の酒・酒屋の酒/甑/醸造運搬容器/技術書/木簡・正税帳/酒殿/長岡京醸造所の発掘調査)
第三章 造酒司の酒
(平城京の造酒司/平安京の造酒司/造酒司でつくられた酒/釈奠の酒/酒造道具類/造酒司の技術/
大嘗祭の白酒・黒酒/内酒殿/式三献/貴族の宴会/大酒)
第四章 神社と酒
(酒の神/伊勢神宮/春日大社/宇賀神社/莫越山神社/下鴨神社・上賀茂神社/技術からみた神酒)
第五章 室町・戦国時代の京都酒
(酒屋名簿にみる酒屋分布/北野麹座/公卿の酒・自家用酒/田舎酒/僧坊酒/中世の酒造技術/
奈良僧坊酒の技術/宣教師の記録/酒屋の発掘調査/多聞院と伏見)
第六章 江戸時代の京都酒
(小さな酒屋/酒株制度/酒屋は何軒あったのか/六条寺内町の酒屋/中妙泉寺組/伏見酒の苦闘/
寛永文化サロン/酒銘/大津酒/伊丹酒/京都酒の江戸出荷/南蛮酒/桑酒/泡盛/京都酒の評判/
京都流酒造技術/麹屋と種麹屋/衰退する京都)
コラム 酒造資料館
コラム 旧市内に残る酒屋
第七章 明治以降の京都酒
(舎密局のビール/民間会社のビール/酒造株の廃止と酒税/京都酒造組合/上京区、下京区/廃業した酒屋/
躍進する伏見/伏見酒造組合/伏見酒の技術/蔵人、酒米、精米、水/学卒者の採用・新技術の摂取/
品評会/防腐剤入らず清酒/設備の近代化―/速醸酛・四段仕込み・甘口酒/戦前の最盛期/
満州における生産/戦時企業整備/アルコール添加酒・三倍増醸酒/戦中戦後の業界/旧市内酒蔵の消滅/
級別制度の廃止)
コラム 現在の京都酒
コラム 伏見の酒蔵
コラム 京都市外の酒
あとがき
文献一覧
索引
●著者
吉田 元(よしだ はじめ)
種智院大学名誉教授。専門は発酵醸造学、日本科学技術史、食文化史。
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