仮面の世界をさぐる
アフリカとミュージアムの往還
フィールドワーク選書 19
吉田憲司著 *「吉」の字は上が「土」です
四六判・並製・紙カバー装・帯付・256頁
税込2,200円(本体2,000円+税)
ISBN978-4-653-04249-5【2016年3月刊】
ひとを変身させる仮面とは一体何なのか
邪術が息づくザンビア・チェワの社会で葬送儀礼として営まれる仮面舞踊。その秘密結社に加入し、調査研究を進める一方、文化を展示する博物館のあり方を見据える。人びとの生活のなかで生まれ、育まれてきた仮面の魅力を伝えるとともに、人と人の関わりのなかで他者と自己を掴んでいくフィールドワークの意義を感じさせる一書。
<目次>
はじめに
(あれはニャウだ/秘密結社「ニャウ」/仮面の普遍性/仮面への関心、山への傾倒)
第一章 仮面の森・以前――遠山霜月祭から上ナイル踏査まで
(フィールドワークの洗礼/遠山郷下栗/霜月祭/湯立て/神様たちは帰ってしまった。面は?/神面/余興の祭り/アフラシア・プロジェクトの提案/「君たちはアホですか?」/思わぬ抵抗/計画書/二足の草鞋/民博開館とシンポジウム/募金と交渉/スーダンへ/ナイロビからジュバへ/それぞれのフィールドへ/車のトラブル連続/映像取材/ダンスの夜/取材班を送り出す/残る日々/帰国)
第二章 仮面の森へ――ザンビア・チェワの社会をめざす
(大学院に進む/「象徴論」との格闘/首都ルサカ/仮面のつながり/予備調査/チャディザへ/チーフたち/ムカイカ/ふたつのチーフ領/ハイエナに変わった女性/間近に見るニャウの踊り/カリザ村/ニャウの正体/クランバの祭典)
第三章 仮面の森のフィールドワーク――秘密結社ニャウへの加入
(村入り準備/村の集会/家つくり/村長追放/呪医への弟子入り/ニャウへの加入/葬送儀礼/女性の成人儀礼チナムワリ/ニャウとチナムワリ/撤収/六年ぶりの再訪/元村長グンドゥザの死/喪主をつとめる/仮面舞踊の熱狂/昼間の仮面舞踊/仮面結社が死者を浄化する/仮面舞踊の変容)
第四章 ミュージアムのフィールドワーク――文化の表象の探求と実践
(民博第一回企画展「赤道アフリカの仮面」/大英博物館/世界の博物館の仮面コレクション/「アフリカ美術」の虚構/民族誌記述の転換点にたちあう/民族学博物館への批判/「二〇世紀美術におけるプリミティヴィズム」をめぐる論争/推薦状を書いてください/特別展「異文化へのまなざし」/民博アフリカ展示の更新)
結 び 仮面という装置
(世界の仮面/「異界」の可視化/仮面と身体)
あとがき
●著者 ※所属は2016年刊行時のものです
吉田憲司(よしだ けんじ)
国立民族学博物館教授・副館長。専門は博物館人類学・アフリカ研究。アフリカを中心に、仮面や儀礼等についてのフィールドワークをおこなう一方、ミュージアムにおける文化表象のあり方を研究している。
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