漢倭奴国王から日本国天皇へ 国号「日本」と称号「天皇」の誕生
京大人文研東方学叢書 4
冨谷 至著
四六判・上製・紙カバー装・帯付 総224頁
品切
ISBN978-4-653-04374-4【2018年4月刊】
国号「日本」、称号「天皇」については、日本史研究のうえでは論じ尽くされたかもしれない。
しかし、中国学の立場からはすこし違った観点を提示することができるのではないか――(本文より)
いまなお説の一致をみない国号「日本」、称号「天皇」の誕生の解明を念頭に、紀元前より数世紀に
わたって繰り広げられた古代日本の対中国交渉の歴史にせまる。中華世界に従属した「倭」「王」は、
いつどのように「日本」「天皇」への脱皮をはかったのか。そしてその思惑とは。
多くの日本史研究者を悩ませてきた難題に、中国学者(シノロジスト)が挑む!
<目次>
はじめに
第一章 倭国の認識
第一節 「倭」とは / 第二節 楽浪海中に倭人あり
第三節 海の向こうに憧れた孔子 / 第四節 朝鮮半島出土の『論語』
第二章 漢倭奴国王
第一節 出土した光武帝の金印 / 第二節 「漢委奴国王」はどう読むのか
第三節 朝貢の真の意味
第三章 親魏倭王卑弥呼
第一節 祁山悲秋の風更けて、陣雲暗し五丈原
第二節 親魏倭王となす / 第三節 『日本書紀』が記す「魏志倭人伝」
第四章 倭の五王の時代
第一節 邪馬台国、その後 / 第二節 漢人王朝の終焉
第三節 安東大将軍倭国王―倭の五王 / 第四節 複雑な官職名、称号
第五節 一品官をめざして / 第六節 南朝と北朝の抗争の中で
第五章 日本列島における漢字の伝来
第一節 倭王武の上奏文 / 第二節 出土資料が語る
第三節 渡来人と漢字 / 第四節 石上神宮の七支刀
第六章 疎遠の六世紀―南朝中華主義の没落
第一節 南朝梁と倭国 / 第二節 中華主義への憧憬―職貢図
第七章 日出る国の天子―遣隋使の時代
第一節 遣隋使 / 第二節 煬帝に聞いてみなければわからない
第三節 日出処、日沈処 / 第四節 天子 / 第五節 皇帝菩薩と当今如来
第六節 海西菩薩天子 / 第七節 『日本書紀』の遣隋使の記載
第八章 天皇号の成立
第一節 飛鳥池遺跡出土「天皇」木簡 / 第二節 天武以前の資料
第三節 天皇号に先立つ称号 / 第四節 オオキミ・王・皇
第五節 天皇号の誕生
第九章 国号日本の成立
第一節 倭国、改めて日本国と曰う / 第二節 「禰軍墓誌」の発見
第三節 白村江の戦い / 第四節 国号「日本」の成立
終わりにあたって
参考資料/図版出典一覧/索引
●著者
冨谷 至(とみや いたる) 京都大学名誉教授。専門は中国法制史。簡牘学。著書に『漢唐法制史研究』(創文社)『中華帝国のジレンマ』(筑摩書房)『木簡・竹簡が語る中国古代』(岩波書店)などがある。
【メディア掲載情報】
朝日新聞 (2018年5月26日 朝刊)
日本経済新聞 (2018年7月14日 朝刊)
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