術数学の思考 交叉する科学と占術
京大人文研東方学叢書 5
武田時昌著
四六判・上製・紙カバー装・帯付 総288頁
税込3,300円(本体3,000円+税)
ISBN978-4-653-04375-1【2018年11月刊】
術数学とは何か? 中国思想史、科学史の新たな地平を切り拓く!
科学と迷信が峻別されない時代において、その境界領域にはどのような思考が発揮されていたのか――自然科学の諸分野が『易』を中核とする占術と複合した中国特有の学問「術数学」。先秦に「方術」と呼ばれた自然探究の学問が、漢代思想革命を経て「術数学」へと変容する過程を描きながら、自然の摂理にもとづく社会のあり方、人間の生き方を追求した中国的思考のルーツにせまる。
<目次>
はじめに
序 論 中国科学の新展開――術数学という研究領域
第一部 術数学のパラダイム形成
第一章 陰陽五行説はいかに形成されたか
無から有への万物生成論――中国的二元論
五行と六徳、天道と人道――思孟学派の五行説
刑徳を推す兵法――中国占術理論の起源
天の六気、地の五行――五行説の初源的数理
灸経から鍼経へ――漢代鍼灸革命の道
第二章 物類相感説と精誠の哲学
同類、同気の親和力――天人感応のメカニズム
類推思考と不可知論――自然探究の方法論
精誠、天を感動させる――技能者と賢妻の精通力
王充の迷信批判と占術論――「気」の自然学
第二部 漢代思想革命の構造
第一章 原始儒家思想の脱構築
諸子百家から儒教独尊へ――思想空間の漢代的変容
災異、讖緯と天文占――政治思想と天文暦数学
老子と孔子の交錯――易の台頭と京氏易
世紀末の予言と革命――王莽と光武帝のクーデター
第二章 漢代終末論と緯書思想
秦漢帝国の改暦事業――易姓革命のサイエンス
五星会聚の暦元節――顓頊暦の惑星運動論
聖王出現の暦運サイクル――孟子から緯書へ
天地開闢説と古代史の創造――緯書暦の数理構造
附 録 術数学研究を振り返って(参考文献)
結びにかえて / 索 引
●著者
武田時昌(たけだ ときまさ) 京都大学人文科学研究所教授。専門は中国科学思想史。編著に『術数学の射程―東アジアの知の伝統』(京都大学人文科学研究所、2014)『陰陽五行のサイエンス』(同、2011)などがある。
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