戦後日本を読みかえる 全6巻
―本当に〈戦後〉は終わったのか? 《各巻タイトルとキーワード》 第1巻 敗戦と占領 ……戦中戦後の連続/断続性、占領、基地、検閲、闇の文化、アメリカの影(親米/反米) 第2巻 運動の時代 ……サークル運動、文化工作、組合、市民運動、学生運動、冷戦体制、運動媒体としてのメディア 第3巻 高度経済成長の時代 ……歴史的転換としての高度経済成長期、公共性と大衆性、政治(反戦、反基地)と反政治、公害、万博、 ドキュメンタリー、記憶と記録 第4巻 ジェンダーと生政治 ……生権力、福祉社会、医療・介護と女性、高齢化社会、自殺、鬱、身体論、リブ、フェミニズム、クイア 第5巻 東アジアの中の戦後日本 ……旧満洲、引揚げ、朝鮮戦争、台湾、沖縄、在日、日中友好の歴史的評価、ポスト植民地主義、 アートアクティヴィズムとアジア 第6巻 バブルと失われた20年 ……バブルとポストバブル、失われた20年(10年)、曲がり角の人文学知、環境問題と食文化
「戦後日本を読みかえる」を推薦する 日本大学文理学部教授 紅野謙介 日本の敗戦から七三年が経った。明治国家の成立から数えてみれば、七三年目は一九四一年、ちょうど日中戦争から太平洋戦争に拡大した年に当たる。この長い期間を、私たちは「戦後」という名でひとくくりにしてきた。しかし、「戦後」の時間のなかに性やジェンダーの葛藤と変化があり、階級や地域、民族を分断する闘争があり、国際政治が折り込まれてきた。その亀裂と断層を追うことは、私たちが真の「戦後」の岸辺にたどりつくための手立てでもある。この叢書はそうした旅に欠かせないガイドブックとなるはずである。 日本女子大学人間社会学部教授 成田龍一 「戦後」の考察は、これまで、もっぱら同時代史としてなされてきた。戦後は、現在進行形のもと、未来へ向かう過程として扱われてきた。しかし、いまや戦後生まれが世代を重ね、戦後がノスタルジーの対象とすらなっている。 京都精華大学人文学部専任講師 白井 聡 「戦後」は確実に終わろうとしている。いや、もうすでに終わったのかもしれない。「平和と繁栄」は、すでに彼方の物語となってしまった。しかし、である。にもかかわらず、私たちは「現在」をとらえる言葉=概念をいまだ手にしていない。このことが、出口の見えない閉塞感・不全感を蔓延させている。 |
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