明治~昭和前期漁業権の研究と資料

秋道智彌著 【呈内容見本】

B5判上製・上巻372頁・下巻788頁(全2巻セット・分売不可)
税込68,200円(本体62,000円+税)
 ISBN978-4-653-04468-0【2021年7月刊】

 かつて水産庁に収蔵され、現在国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所が所蔵し、総合地球環境学研究所が写真を所持する『免許漁業原簿』および『漁場図』の情報を核として、日本漁業の基層と系譜とその多様性について論ずる大著の研究篇(上・下巻)と、精細なる大型影印版により『漁場図』の重要な部分を紹介する資料篇(下巻)によって構成。


〈参考資料〉
全国の『免許漁業登録原簿』に記載の漁業協同組合一覧(PDF)


<目次>
― 上巻 目次 ―
漁業系譜論
 序 章 『免許漁業原簿』と日本の漁業系譜
 第1章 日本のアユ漁業
 第2章 日本のサケ・マス漁業
 第3章 日本のウナギ漁業
 第4章 干潟の漁業と生物
 第5章 列島の海藻(草)漁業
 第6章 玄界灘・東シナ海のアワビ漁業
 第7章 瀬戸内海のタイ漁業
 第8章 日本海のトビウオ漁
 終 章 日本における漁業の系譜
― 下巻 目次 ―
漁業の地域多様性
 序 章 日本の漁業と多様性
 第1章 北方四島の漁業
 第2章 伊豆諸島・小笠原諸島・硫黄列島の漁業
 第3章 琉球列島の漁業
 第4章 日本海・小離島の漁業
 第5章 東京湾の漁業
 第6章 駿河湾の漁業
 第7章 富山湾の漁業
 第8章 陸奥湾・三河湾・大村湾・錦江湾の漁業
 終 章 日本における漁業多様性
 資料篇
 表一覧
 専用漁業漁場図一覧
 A 北方四島・北海道・東北 B 関東・伊豆・小笠原・硫黄 C 東海
 D 越後・越中・越前 E 近畿 F 中国・四国 G 九州 H 琉球列島

●著者
秋道智彌(あきみち ともや)
総合地球環境学研究所名誉教授、山梨県立富士山世界遺産センター所長。生態人類学。理学博士。『なわばりの文化史』(小学館、1995年)、『漁撈の民族誌』(昭和堂、2013年)、『海に生きる』(東京大学出版会、2013年)、『越境するコモンズ』(臨川書店、2016 年)、『魚と人の文明論』(臨川書店、2017 年)等。



内容見本(PDF)


●●推薦文●●

多様な漁業の歴史を紐解く

総合地球環境学研究所長 山極壽一

 日本の漁業関係者にとって長年待ち望んだ研究成果と資料がついに出版の運びとなった。日本は世界でもまれにみる豊富な海洋資源を誇り、縄文時代からその上に独特な文化を育ててきた。本書はこれまで水産庁に収蔵されていた「免許漁業原簿」を、総合地球環境学研究所に在籍していた著者が中心となって詳細に分析し、膨大な資料とともに編纂した大著である。日本の漁業の系譜やその特異性、海と川をつなぐサケやマス、ウナギなどの漁法、干潟、玄界灘、瀬戸内海、日本海、北方4島などの地域特性に応じた多様な漁業の歴史が克明に描かれている。多様で豊富だった海の資源が枯渇しようとしている今、本書によって歴史を紐解くことはこの上なく重要だと思う。



難渋を極めてきた漁業系譜論への新たな視座を提示

北海学園大学経済学部教授 濱田武士

 近世にあった漁の多くは近代まで引き継がれ、その後、喪失したもの、細々と残っているもの、産業としてしっかりと存立しているものがある。それらは在来型だと思われていてもどこで生まれ、どのような経路・交流で伝播し、そしてどのような分布に至ったのか、日本漁業を時空間上で俯瞰しながらその系譜を辿ることは難渋を極めてきた。本書は、明治後期から日本政府により収集・整理された全国の漁業権利関係の登記簿『免許漁業原簿』等を手がかりに漁業系譜の分析に挑んだものである。門外不出だったこの資料が示すものと、著者が長年蓄えてきた国内外の伝統漁の知識が融合され、漁業系譜論の新たな視座が見えてくる。漁業史研究に欠かせない一冊となろう。


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