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戦後日本の傷跡
坪井秀人編
A5判上製・376ページ
税込4,950円(本体4,500円+税) ISBN978-4-653-04517-5【2022年2月刊】
傷跡――いまだ終わらない、完結しない過去、癒しがたく忘却することのできない経験が現在に息づく、現在進行形の語りによってしか語ることの出来ない、過去の時間と現在の時間が交錯する場所。戦争経験の傷跡を生き続けたアジアと日本の戦後社会を考察した24本の論考を収録。
<目次>
序論 身体としての戦後日本そしてその傷跡 坪井秀人
第一部 戦争の傷跡とアジアの中の戦後
傷痍軍人の語る「傷跡」――直井潔の作品とケアの様相をめぐって 市川 遥
生者を傷つける死者との回路――川端康成『虹いくたび』 葉 暁瑶
宮尾登美子の満州体験と帝国の傷跡――語られる引揚げ、想起する苦しみ ニコラス・ランブレクト
台湾先住民を日本人にさせる殖民暴力とその傷跡の分有──日本のおかげと恩という語りとの出会い 中村 平
移動者たちの「在日朝鮮人文学」──「密航」と収容所、そしてアメリカ 宋 恵媛
「留用」と「引揚げ」――加藤幸子『夢の壁』にみる少女の記憶 解 放
在韓被爆者支援と文学――深川宗俊と御庄博美を中心に 川口隆行
第二部 傷の記憶と表象
脚本家水木洋子と戦後社会派映画再考 キツニック・ラウリ
母の死とオリンピック――古田幸『おかあさんのばか』のメディア展開をめぐって 鳥羽耕史
レイプの位相と男性セクシュアリティ──大島渚『絞死刑』と大城立裕『カクテル・パーティー』のあいだから 高 榮蘭
戦争記憶を民話として継承するということ――松谷みよ子等による第二次民話運動の頃を中心に 髙畑早希
完結する物語、完結しない声──崎山多美「ピンギヒラ坂夜行」から考える 田村美由紀
第三部 戦後民主主義──運動と傷跡
中野重治「雨の降る品川駅」の同時代史―― 一九七〇年代日本の思想空間と「差別」問題 黒川伊織
〝カスバ〟とよばれた街―― 一九六〇年代の雑誌メディアにおける〈釜ケ崎〉の表象 石川 巧
〈無力なイエス〉と戦後キリスト教界――遠藤周作『イエスの生涯』批判をめぐって 増田 斎
全共闘運動の傷跡――東大闘争参加者の「その後」から 小杉亮子
日本特殊論とトランプ政治──一九八〇年代の傷 辛島理人
第四部 ジェンダー、生政治と傷跡
傷を重ねる──森崎和江の聞き書きにみる語り/沈黙/無言 奥村華子
森崎和江『からゆきさん』──傷跡のインターセクショナリティ 佐藤 泉
敗戦のトラウマと性的不能、あるいはエロティックな戦争 光石亜由美
サリドマイド事件の傷跡 ホワニシャン・アストギク
妻の崩壊──傷跡としての『成熟と喪失』 坪井秀人
戦後日本の「ケアの危機」──津島佑子「ある誕生」「壜の中の子ども」にみる子殺しと障害の交差 飯田祐子
社会距離という傷跡──COVID-19の風景 美馬達哉
あとがき 坪井秀人
執筆者紹介
●編者・執筆者
(執筆順)
※所属は2022年刊行時のものです
坪井秀人(国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。日本近代文学・文化史)
市川 遥(名古屋大学人文学研究科博士後期課程。日本近代文学)
葉 暁瑶(総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程、日本学術振興会特別研究員DC。日本近現代文学)
ニコラス・ランブレクト(大阪大学大学院文学研究科助教。近現代日本文学、国際日本研究)
中村 平(広島大学大学院人間社会科学研究科人文学プログラム教員。日本学・人類学)
宋 恵媛(大阪市立大学文学研究科准教授。在日朝鮮人文学、コリアンディアスポラ文化)
解 放(吉林大学外国語学院准教授、東京外国語大学非常勤講師。日本近代文学)
川口隆行(広島大学大学院人間社会科学研究科教授。日本近現代文学・文化史)
キツニック・ラウリ(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。映画学)
鳥羽耕史(早稲田大学文学学術院教授。日本近代文学、戦後文化運動)
高榮 蘭(日本大学教授。日本の近現代文学)
髙畑早希(名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程日本文化学講座。日本近現代文学・文化)
田村美由紀(国際日本文化研究センター博士研究員、奈良教育大学非常勤講師。日本近現代文学)
黒川伊織(神戸大学大学院国際文化学研究科協力研究員。日本思想史・社会運動史)
石川 巧(立教大学教授。日本近代文学・文化)
増田 斎(総合研究大学院大学博士後期課程、京都ノートルダム女子大学非常勤講師。日本キリスト教文学)
小杉亮子(埼玉大学教養学部教員。社会学、社会運動論)
辛島理人(神戸大学国際人間科学部准教授。国際文化学)
奥村華子(名古屋大学大学院人文学研究科日本文化学専攻。近現代日本文学・文化)
佐藤 泉(青山学院大学文学部教員。日本近現代文学史、思想史)
光石亜由美(奈良大学文学部教授。日本近代文学)
ホワニシャン・アストギク(ロシア・アルメニア大学上級講師。日本研究)
飯田祐子(名古屋大学大学院人文学研究科教授。日本近現代文学)
美馬達哉(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。医療社会学・神経科学)
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