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記憶と象徴としての毛沢東
民衆のまなざしから

韓 敏著

A5判上製・344頁
税込4,400円(本体4,000円+税)
 ISBN978-4-653-04518-2【2022年3月刊】

 ナショナル・シンボルとしての毛沢東は、どのように一般社会に浸透し、民衆に受容されてきたのか。中華民国の孫文とベトナムのホーチミンと比較しながら、毛沢東の象徴的意味、個人崇拝の生成過程と持続するメカニズムを究明する。民衆の多元的な言説や生活実践からみえてくるのは、偉大なる指導者の集団的記憶とその時代的変化である。毛沢東への人類学的アプローチは、現代中国社会を知るための新たな手掛かりとなり得るのか。

<目次>
序 章 記憶と象徴としての指導者への人類学的アプローチ
第一章 近代中国におけるナショナル・シンボルの誕生
 第一節 個人崇拝の現象
 第二節 毛沢東の生い立ち
 第三節 指導者地位の確立
 第四節 ナショナル・シンボルの伝播と再生産
 結び
第二章 山村から国家的聖地へ
 第一節 前近代と近代の聖地
 第二節 毛沢東生誕の地
 第三節 国家指定の文化財と表敬訪問(一九四九~一九六六)
 第四節 文化大革命期の聖地化(一九六六~一九七六)
 第五節 聖地の多元化
 第六節 地域における聖地のマネジメント
 第七節 毛氏一族による観光への関与
 結び
第三章 公共的領域における毛沢東の題字
 第一節 題字へのまなざし
 第二節 公共的空間における毛沢東題字の出現
 第三節 題字の分類
 第四節 現代社会における存続とその意味の変化
 結び
第四章 民間信仰における指導者の記憶と象徴
 第一節 中国社会における毛沢東の多様性
 第二節 毛沢東の象徴性に関するメディア報道と先行研究
 第三節 革命指導者の祭祀――湖南、河北と四川の事例
 第四節 革命根拠地、陝西省北部の祭祀施設
 第五節 革命指導者の追想と民間信仰との融合
 第六節 祭祀空間における毛沢東の両義性とその表象
 結び
第五章 バッジの使用と語り
 第一節 毛バッジに関する先行研究
 第二節 毛バッジの普及
 第三節 バッジの入手と使用
 第四節 現代中国におけるバッジの多様な活用
 結び
第六章 中華民国の国父、孫文の記憶と表象
 第一節 孫文の生い立ち
 第二節 革命の実践とその遺言
 第三節 遺体処理と神聖化
 第四節 国家的聖地――南京の中山陵
 第五節 故郷翠亨村の神聖化
 結び
第七章 近代ベトナムと民族英雄のホーチミン
 第一節 初めてのベトナム調査
 第二節 ホーチミンの生涯とその語り方
 第三節 国家によるホーチミン崇拝
 第四節 ホーチミンの故郷、金蓮社の国家文物化と観光化
 第五節 宗教施設におけるホーチミンの位置づけ
 第六節 民家、学校などの空間におけるホーチミンの表象
 第七節 ベトナムの英雄系譜と永遠のバック・ホー
 結び
終 章
 第一節 二十世紀のナショナリズムとカリスマ的指導者との出会い
 第二節 一般社会へ浸透していく指導者崇拝
 第三節 指導者ゆかりの地と聖地のマネジメント
 第四節 英雄崇拝の行方
付録(毛沢東・孫文・ホーチミン関連年表)
注/参考文献/後書き/索引

●著者
韓 敏(かん びん)
国立民族学博物館教授。専門は文化人類学・中国研究。主な著書に『大地の民に学ぶ 激動する故郷、中国(フィールドワーク選書18)』(臨川書店、2015)、『中国社会における文化変容の諸相:グローバル化の視点から』(編著、風響社、2015)、『回応革命与改革―皖北李村的社会変遷与延続』(江蘇人民出版社、2007)などがある。

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