東アジア伝統医療文化の 多角的考察
大形徹・武田時昌・平岡隆二・髙井たかね編
B5判・上製・クロス装・函入、424頁
税込14,300円(本体13,000円+税)
ISBN978-4-653-04576-2【2024年2月刊】
中国伝統医学は、早期治療、予防医学または長生術、養生法、美容術といった多方面の研究に取り組み、道教、仏教、術数学と相互連関することでユニークな文化複合体を形成した。本書では、文理横断的な視点において具体的様相を探り、東アジア世界に開花した医療文化の構造的把握に挑む。京大人文研拠点共同研究の成果論文集。
<目次>
刊行の辞(武田時昌)
一 中国医薬学の諸相
第1 章 疫と疫鬼と方相氏 大形 徹
第2 章 『正統道蔵』所収『急救仙方』に記載される「腹の虫」―日本,中近世の鍼灸流儀書への影響をめぐって― 池内早紀子
第3 章 本草書の虎にみえる説話的要素 小山 瞳
第4 章 五味・五臓と季節―『遵生八牋』から考える― 清水浩子
第5 章 中国伝統医療文化における“鍼灸”と“美容”の共生 王 財源
研究ノート 房中文献より見る『僧尼孽海』成立小攷 永塚憲治
二 日本医道の遡及的考察
第6 章 日本中世社会における針灸治療の実態 島山奈緒子
第7 章 古医書を伝えた人々―中世和気氏の学問的系譜― 武田時昌
第8 章 宋代点茶における芽茶の毛(毛茸)による白色の泡の茶と日本的展開―茶筅の起源の問題を含めて― 豊田裕章
第9 章 日本に伝えられた陸羽伝―五山版『隆興仏教編年通論』陸羽・皎然・道標伝について― 岩間眞知子
研究ノート 研医会図書館所蔵の江戸以前眼科書について 安部郁子
三 東アジアにおける医書の伝播
第10 章 朝鮮時代の医書と『活人心』 劉 青
第11 章 『東医宝鑑』の日本への伝播と波及 吉村美香
第12 章 中世イスラム医学の焼灼と『回回薬方』の焼灼―イスラム医学の東アジアへの伝播についての一考察― 尾崎貴久子
四 鍼灸医術の日本的展開
第13 章 道三流の七表八裏九道脈と対脈―現代と比較して― 熊野弘子
第14 章 粕谷流の流儀書について 松木宣嘉
第15 章 宮本流経穴学とその伝承 加畑聡子
五 近代医学のなかの東洋伝統医学
第16 章 21 世紀の国際標準化が伝統医学にもたらすもの―俯瞰する視点と範疇構造規格の可能性― 東郷俊宏
研究ノート 安保徹の世界 其壱―「こころ」と「からだ」をつなぐ健康学― 渡邉真弓,富山智香子
研究ノート 安保徹の世界 其弐―「百寿者」を免疫学から考える― 富山智香子,渡邉真弓
研究ノート 北里柴三郎「医道論」と東洋思想 水野杏紀
●編者
大形 徹(立命館大学衣笠総合研究機構特別招聘研究教員(教授)。中国哲学)
武田時昌(京都大学名誉教授/関西医療大学客員教授。中国科学思想史)
平岡隆二(京都大学人文科学研究所准教授。科学史、知識交流史)
髙井たかね(京都大学人文科学研究所助教。中国家具・生活空間史)
●執筆者
(執筆順)
※所属は2024年刊行時のものです
池内早紀子(大阪府立大学大学院博士後期課程。医学思想史,漢方医学)
小山 瞳(関西大学非常勤講師。中国文学(説話))
清水浩子(公益財団法人斯文会講師。中国思想・文化)
王 財源(関西医療大学保健医療学研究科大学院教授,同大学附属図書館館長,同東洋医学研究センター所長。中国伝統医学,東洋医学)
永塚憲治(公益財団法人研医会研究員/立命館大学アートリサーチセンター 客員協力研究員。医学史)
島山奈緒子(関西医療大学準研究員,同大学東洋医学研究センター研究員/立命館大学白川静記念東洋文化研究所客員研究員。医学史,針灸医療史)
豊田裕章(国際日本文化研究センター客員教授。都城制史,比較都市史,庭園史,比較文化史,日中交流史)
岩間眞知子(静岡県ふじのくに茶の都ミュージアム客員研究員。日中喫茶史)
安部郁子(公益財団法人研医会研究員,同図書館長。医学史)
劉 青(弘前大学人文社会科学部助教。中国哲学史,道教思想,医学思想)
吉村美香(愛知大学非常勤講師。民俗学,東アジアの民俗文化)
尾崎貴久子(防衛省防衛大学校総合教育学群外国語教育室教授。イスラム医学史,中世イスラム社会史)
熊野弘子(森ノ宮医療大学大学院准教授/立命館大学客員研究員。臨床医学史)
松木宣嘉(岡山大学医学部疫学・衛生学分野客員研究員。疫学・近世日本鍼灸史)
加畑聡子(北里大学薬学部附属東洋医学総合研究所研究員。江戸時代鍼灸医学史)
東郷俊宏(順天堂大学協力研究員/明治国際医療大学客員教授。東アジア医学史・統合医療)
渡邉真弓(中央大学共同研究員・兼任講師。ストレス,免疫,代替医療)
富山智香子(新潟大学大学院保健学研究科検査技術科学分野准教授。肝臓免疫)
水野杏紀(関西医療大学/奈良県立医科大学非常勤講師。中国思想・養生・術数)
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