戒律研究へのいざない
岸野亮示編
46判・並製・二段組・432頁
税込3,740円(本体3,400円+税)
ISBN978-4-653-04583-0【2024年9月刊】
戒律を研究する意義や醍醐味から、その研究手法の特徴、さらには将来の課題まで――今後の戒律研究の蓄積と発展をにらむ次世代の研究者達が、国内外で熱気を帯びる戒律研究の最前線へと誘い出す。インド仏教とジャイナ教からそれぞれ三篇の論考を収録。戒律から見えてくる宗教者の姿とは。船山徹氏・佐々木閑氏も特別寄稿。
<目次>
総 説 岸野亮示 インド仏教戒律テキスト概観
第一章 岸野亮示 インドにおける「観化」――チャンダカをめぐる一考察
一、パーリ仏典にあらわれる「チャンダカ」
二、「チャンダカ・ビクシュナ」について
三、「根本説一切有部律」における「チャンダカ・ビクシュナ」
四、漢訳仏典における「観化」について
◇コラム 中国初の漢訳律『僧祇戒心』の噓とまこと(船山 徹)
第二章 八尾 史 写本から見えるもの――律研究におけるサンスクリット語テクストについて
一、律研究と写本
二、「根本有部律」のサンスクリット語写本
三、「根本有部律」写本から見えるもの――プラバーサ王説話に見る「根本有部律」と『喩鬘論』の関係
第三章 青野道彦 お寺は誰のものであるのか?――上座部戒律文献を資料として
一、 居住施設の帰属先に関する従来の見解
二、従来の見解の典拠となった記述の再検討
三、『サマンタ・パーサーディカー』における居住施設の帰属先に関する記述
四、サンガの居住施設と個人の居住施設
五、結論――居住施設の帰属先に関する展望
◇コラム ジャイナ教の臥座具(堀田和義)
第四章 河﨑 豊 ジャイナ教戒律研究の動向と今度の展望
一、白衣派と空衣派
二、白衣派聖典
三、チェーヤスッタ
四、チェーヤスッタに対する諸注釈
五、ジャイナ教戒律研究の動向1――①チェーヤスッタの校訂・翻訳・訳注研究
六、ジャイナ教戒律研究の動向1――②チェーヤスッタを中心資料とする戒律研究
七、ジャイナ教戒律研究の動向1――③日本における研究状況
八、なぜこのような状況だったのか?
九、注釈文献研究の難しさ?
一〇、ジャイナ教戒律研究の動向2
一一、ジャイナ教戒律研究の動向2――①海外の状況
一二、ジャイナ教戒律研究の動向2――①本邦の状況
一三、ジャイナ教戒律研究のこれから
一四、ジャイナ教戒律に関する書誌情報
◇コラム 理念と現実(河﨑 豊)
第五章 上田真啓 ジャイナ教出家修行者の戒律と苦行
一、『タットヴァ経』における戒律と苦行
二、諸聖典における振る舞いのルール 三、チェーヤスッタ(チェーダスートラ)
四、『ヴァヴァハーラ』注釈文献における戒律と苦行
第六章 堀田和義 ジャイナ教在家信者の戒律
一、ジャイナ教在家信者の行動規範
二、正しい見解と正しい認識
三、正しい行い①――五つの小さな戒律
四、正しい行い②――三つの徳戒 五、正しい行い③――四つの学習戒
六、理想の死に方としての断食死
七、在家信者の十一の階梯
◇コラム 戒律研究の意義と面白さ(佐々木 閑)
参考文献
あとがき
執筆者一覧
●編者・執筆者
(執筆順)
※所属は2024年刊行時のものです
岸野亮示(京都薬科大学一般教育分野講師。専攻:仏教学)
八尾 史(東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専攻:仏教学)
青野道彦(駒澤大学仏教学部仏教学科講師。専攻:仏教学(戒律文献))
堀田和義(駒澤大学仏教学部仏教学科講師。専攻:インド古典学(ジャイナ教))
上田真啓(立命館大学文学部非常勤講師。専攻:インド古典学(ジャイナ教))
河﨑 豊(東京大学アジア研究図書館助教。ジャイナ教出家修行者の戒律と修行道の変遷を主に研究している。)
●コラム
(執筆順)
※所属は2024年刊行時のものです
船山 徹(京都大学人文科学研究所教授。専門:仏教学)
佐々木閑(花園大学特別教授。専門:仏教哲学、古代インド仏教学、仏教史)
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