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ナラティヴ・ポリティクス
としての異人論

不寛容時代の〈他者〉をめぐる物語

山 泰幸・西尾哲夫編
A5判・上製・410頁
税込5,390円(本体4,900円+税)

ISBN978-4-653-04586-1【2024年11月刊】


〈他者〉への偏見や差別が激化していく不寛容時代に対し、人文学はどのように向き合うべきか。文化人類学や民俗学で蓄積されてきた「異人論」から着想を得て、〈他者〉に対する歓待や排除をめぐる物語・語りを「ナラティヴ・ポリティクス」という視点から読み直し、不寛容時代を乗り越える手掛かりを探る。国立民族学博物館の共同研究の成果をまとめた一冊。

<目次>
序 章 ナラティヴ・ポリティクスとしての異人論(山 泰幸)
第一部〈他者〉をめぐる物語としての異人論の現在
 第一章 グローバルデジタル時代の新たな《異人》論へ(西尾哲夫)
 第二章 渡し守の文学・序説──異人が異人を渡すとき(君野隆久)
 第三章 異人としての狐──アメリカのナラティヴに変容する東アジアの民話(カルディ・ルチャーナ)
 補論一 研究ノート「寄りもの」と異人伝承──土佐佐賀における祭祀由来譚(川島秀一)
第二部 フィールドから照射するナラティヴ・ポリティクス
 第四章 異人から客家へ──中国広東省の「客」をめぐるナラティヴ・ポリティクス(河合洋尚)
 第五章 寛容性/非寛容性の観点からみる族譜における女性のナラティヴ──中国の漢族社会の事例に基づいて(韓 敏)
 第六章 異人歓待の条件──インドの祝言者ヒジュラの通過儀礼(國弘暁子)
 第七章 現代イランの祭りと異人に対する寛容性(竹原 新)
第三部 異類あるいは異なるものをめぐるナラティヴ・ポリティクス
 第八章 異類の皮をめぐるナラティヴ・ポリティクス──おとぎ話と現代美術の接点から(村井まや子)
 第九章 異類と害虫──スズメバチへの態度にみる寛容性と非寛容性(及川祥平)
 第十章 〈異〉なるものの生成と寛容/非寛容──コロナ禍におけるナラティヴとしての漫画作品より(小川伸彦)
 第十一章 迷惑・異人・自己責任──「不寛容の時代」とその起源(岩本通弥)
第四部 ナラティヴ・ポリティクスを超えて
 第十二章 異人としてのろう者との架け橋としての手話民話語り──ろう文化と聴文化、二文化共生社会を目指して(鵜野祐介)
 第十三章 異人同士のナラティヴ── 発達障害の当事者同士が文学について語りあう(横道 誠)
 第十四章 炭坑夫の「異人化」と「人間化」──筑豊における炭鉱労働者をめぐる「寛容のナラティヴ」の考察(川松あかり)
 補論二 異人論の過去・現在・未来 小松和彦(語り手)、西尾哲夫・山 泰幸(聞き手)
あとがき(西尾哲夫)


●編者  ※所属は2024年刊行時のものです   

山 泰幸(関西学院大学人間福祉学部教授)民俗学、思想史、社会文化理論
西尾哲夫(人間文化研究機構 国立民族学博物館特定教授/名誉教授)言語学・アラブ研究

●著者(50音順)  ※所属は2024年刊行時のものです   

岩本通弥(東京大学名誉教授)民俗学・家族社会史
鵜野祐介(立命館大学文学部教授)教育人類学
及川祥平(成城大学文芸学部准教授)民俗学
小川伸彦(奈良女子大学文学部人文社会学科教授)文化社会学
カルディ・ルチャーナ(関西大学文学部准教授)比較文学・英米文学・日本文学
河合洋尚(東京都立大学人文社会学部准教授)社会人類学、景観人類学、漢族研究
川島秀一(東北大学災害科学国際研究所シニア研究員)日本民俗学
川松あかり(九州産業大学国際文化学部講師)民俗学・文化人類学
韓 敏(国立民族学博物館超域フィールド科学研究部教授)文化人類学
君野隆久(京都芸術大学芸術学部教授)比較文学
國弘暁子(早稲田大学文学学術院教授)文化人類学
小松和彦(国際日本文化研究センター名誉教授)文化人類学、民俗学、口承文芸論
竹原 新(大阪大学大学院人文学研究科教授)イラン民俗学
村井まや子(おとぎ話文化研究者)おとぎ話文化、比較文学
横道 誠(京都府立大学文学部国際文化交流学科准教授)文学・当事者研究

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