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マウンド・ビルディング
の考古学

先史アンデスにおけるモニュメントの
はじまりを問い直す

荘司一歩著
A5判・上製・本文484頁・口絵4頁
税込19,800円(本体18,000円+税)

ISBN978-4-653-04587-8【2024年12月刊】


古代アンデスにおいて神殿建設はどのように始まったのか。古期の小規模な盛土遺構「マウンド」に廃棄された動植物の残滓や石器を詳細に検討し、貝殻のスクレロクロノロジー(硬組織編年学)によって環境変動を解明。マウンド・ビルディングという廃棄と建設の入り混じる社会実践によって、アンデス文明史における初期モニュメントが生み出されてきた過程を明らかにする。

<目次>
序章 アンデスにおけるモニュメントとモニュメンタリティ
 第1節 はじめに
 第2節 先行研究と問題の所在
 第3節 理論的視座と方法論
 第4節 本書の構成
第1章 アンデスの自然環境と歴史
 第1節 アンデスの編年と古期という時代
 第2節 アンデスの自然環境
 第3節 古環境という視点
第2章 クルス・ベルデ遺跡の発掘:遺跡の形成過程と年代
 第1節 クルス・ベルデ遺跡
 第2節 マウンドの形成過程と通時的変化
 第3節 マウンドと埋葬
 第4節 マウンドの絶対年代
 第5節 小括:マウンド形成過程の変化と年代
第3章 出土遺物の分析:モノのライフヒストリーと廃棄行為
 第1節 石器の分析
 第2節 骨器・貝器の分析
 第3節 小括:マウンドから出土した遺物の特徴と廃棄行為
第4章 食糧残滓からたどる資源利用
 第1節 出土動物骨の変化と資源利用
 第2節 植物資源の加工と消費
 第3節 貝類の採集活動と資源利用戦略
 第4節 小括:クルス・ベルデ遺跡における資源利用と通時的変化
第5章 二枚貝のスクレロクロノロジー:古環境変動を探る
 第1節 スクレロクロノロジーと考古学
 第2節 分析の方法と対象資料
 第3節 オオヌノメアサリの成長パターン
 第4節 エル・ニーニョ現象と古環境変動
 第5節 小括:スクレロクロノロジーでみる環境変動と生態資源利用
第6章 環境変動に伴う社会実践の変容とマウンド
 第1節 マウンドの形成と生態資源利用
 第2節 環境変動と生態資源利用
 第3節 環境変動とマウンドの形成
 第4節 社会実践の変容とマウンド・ビルディング
 第5節 小括:ゴミ捨て場からモニュメントへ
第7章 チカマ川流域沿岸部におけるクルス・ベルデ遺跡
 第1節 チカマ川流域沿岸部におけるマウンド
 第2節 マウンド・ビルディングの開始とその背景:比較の視点から
 第3節 小括:チカマ川流域におけるクルス・ベルデ遺跡の位置づけ
終章 アンデス文明史におけるマウンドと神殿
 第1節 マウンドと神殿建築:モニュメントのはじまりに関する一考察
 第2節 おわりに:環境変動・資源利用・モニュメンタリティ
参考文献
あとがき

●著者
荘司一歩(しょうじ かずほ)
山形大学 学術研究院(人文社会科学部担当)講師

1989 年、神奈川県生まれ。
2021 年、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。国立民族学博物館外来研究員、東京大学大気海洋研究所特任研究員、日本学術振興会特別研究員PD を経て現職。専門はアンデス考古学、文化人類学、スクレロクロノロジー(硬組織編年学)。
先史アンデスにおけるモニュメントの創出過程の解明をテーマに古環境変動と資源利用、そして人類史との関係について研究を続けている。

[主要著作]
「巨大建造物はなぜ、どのように生まれたのか:海岸のマウンドと残された謎」関雄二監修、山本睦・松本雄一編『アンデス文明ハンドブック』(分担執筆、臨川書店、2022 年)、『貝殻が語る環境と人—ペルーの海と先史時代の漁撈民』(風響社、2021 年)。

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