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リシンキング・ヒューマンズ
文化で読む人間科学

大西秀之著
四六判・並製・224頁
税込2,640円(本体2,400円+税)

ISBN978-4-653-04589-2【2025年4月刊】


ホモ・サピエンスの誕生から、現代社会の行く末まで。さまざまな対立が引き起こす紛争や地球環境問題などの危機に直面する今、「人間とはなんだろうか?」という普遍的な問いを、文化をめぐる人類学的研究を基に考察。自然科学から人文社会学まで幅広く概観することで、人間や人類社会の「常識」や「あたり前」を疑い、再考する。


<主要目次>
 はじめに:本書のねらい
第一章  自然からの解放
第二章  ヒトなる種
第三章  生存環境の創造
第四章  文化の大爆発
第五章  技術による解放と支配
第六章  多元的世界を生きる
第七章  知識と感覚のバイアス
第八章  性をめぐる身体と社会
第九章  社会が生み出す病
第一〇章  曖昧になる生と死
第一一章  拡張する社会
第一二章  人類社会の行く末
 おわりに:ヒューマニティの意義
 あとがき

  

●著者   ※所属は2025年刊行時のものです
大西秀之(おおにし ひでゆき)
同志社女子大学現代社会学部教授 専門:人類学、政治生態学。

 

●●推薦文●●

総合地球環境学研究所 所長 山極壽一

 文化の研究が今面白い。自然科学の隆盛によって、これまで哲学が定義してきた人間の常識が大きく揺らいでいるからだ。自由意思や国民国家という西洋近代の思想によって作られた人間観や社会像が見直しを迫られている。本書はそれを、参与観察によって得られた民族誌を媒介にして、人間や人類社会を多角的な視野から相対化して語る野心的な試みである。まず、文化に対するこれまでの誤解を解き、文化が引き起こす様々な現象に目を向けた後、現代を牽引する科学的世界観と妖術などが支配する多元的な世界観を紹介する。そして、それらの世界観はどれも現実の社会に影響を与える「共約可能」なものと見なす。それを理解するためには、文化的能力として獲得される民俗的な生の知識が必要であると説く。現代の性をめぐるトラブルや社会的病、死生観、グローバル時代の国民国家の在り方、環境問題など、多くの課題の解決に「人間再考」という本書の示唆を傾聴したい。

 

●●著者のことば●●

同志社女子大学 現代社会学部 教授 大西秀之

 人間や人類社会を理解するためには、なにが必要なのだろうか。なぜ自然科学による人間や人類社会の理解や説明だけでは不十分で、われわれは満足できないのだろうか。これらは、本書を貫く中心課題であり、筆者であるわたし自身が問い続けてきた命題である。その答えとして、本書では、科学的な理解や説明には還元しきれない、文化に基づく人間や人類社会の読み解きを試みる。文化は、自然環境や遺伝能力の制約から人間を解放し、個人のみならず人類全体が多様な生を営むための源泉にほかならない。またそれゆえ、通常われわれが自明視している人間観や社会像は、ほかにも選択しえていたはずの、多様な可能性の一つに過ぎないものとなる。このような背景の下、本書では、人間や人類社会のあり方を再考するなかから、文理という既知の枠組みに囚われない「人間科学」としての文化理解を模索する。



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