セクシュアリティの表象と身体 川村邦光
編 ■四六判上製・272頁 税込2,970円(本体2,700円+税) 発売中 ISBN
978-4-653-04019-4
近現代の大衆文化にみられる日本人の〈性〉とは?
本書では、セクシュアルな視覚文化(服飾・写真・人形・演劇等)の分析を通じて、私たちが性の表象や身体にどのようなまなざしを注いできたか、また、西欧化・近代化のインパクトのもと、私たちのセクシュアリティや身体観がどのように生成されてきたかをシリアスかつ艶やかに探究する。 近年展示が行われ再注目されている江戸のマネキン・“生人形”や、2009年にブームを巻き起こした“海女”などにも言及。〈セクシュアリティ〉をキィワードに時代・メディアを横断する、画期的なポピュラーカルチャー研究。
【 目次
】 第1章 生人形とセクシュアリティの変容 −「色」の展開とその受容 (竹原明理) 幕末期に生まれ、見世物として人気を集めた“生人形”。その生々しい裸体表現を娯楽として許容した近世の文化的背景が、近代化を経て変容する様を追う。
第2章 変態するナオミ ―モダンガールの身体とセクシュアリティ (川村邦光) 断髪やハイヒール。モダンガールを象徴する洋装の流入は、それを身に纏う彼女たちにどのような身体的・意識的変革をもたらしたか。
第3章 誰がために海女は濡れる ―日本海女写真史略 (菊地
暁) 20世紀初頭から現在に至るまで、日本の海女が、被写体として多くの写真家たちを魅了し続けているのはなぜか。“海女”写真を紹介しながら考察する。
第4章 〈誤認〉する男 ―宝塚歌劇『琥珀色の雨にぬれて』とホモソーシャルな三角形の中の女性 (東
園子) 「宝塚」ファンの女性にとって、男役はなぜ魅力的なのだろうか。2002年上演の舞台『琥珀色の雨にぬれて』の登場人物分析を通じて考察する。
第5章 ゴスロリはセクシュアルなまなざしとどう戦うか (水野
麗) ゴシック・ロリィタファッション(通称ゴスロリ)を愛好する人々は、周囲からの性的な視線にどう対応しているか。フィールドワークに基づく分析。
第6章 海外BDSM界における<日本>イメージ ―快楽の活用とジェンダー (坂井はまな) 海外のSM雑誌やショーにみられる日本人の性的イメージとその歴史・文化的背景について、ジェンダー論の見地から論じる。
●川村邦光(かわむら・くにみつ)/大阪大学大学院文学研究科教授 ●竹原明理(たけはら・あかり)/大阪大学大学院博士課程 ●菊地 暁(きくち・あきら)/京都大学人文科学研究所助教 ●東 園子(あずま・そのこ)/関西大学他非常勤講師 ●水野 麗(みずの・れい)/秋田工業高等専門学校講師 ●坂井はまな(さかい・はまな)/大阪大学大学院博士後期課程退学・故人
(2009年12月現在) |