牧田諦亮著作集 全8巻 ≪2016年11月全巻完結!≫ 【呈内容見本】 中国仏教史の泰斗、牧田諦亮の研究の全貌を明らかにする 世界における疑経研究の開拓者として不動の地位を築いた牧田諦亮博士。中国仏教研究における錚々たる碩学の轍を進みながら行われた精力的な研究は、国内はもとより、広く海外までその足跡が及んでいる。本著作集は、代表作として著名な『疑経研究』(第一巻)をはじめとする過半の著述を収録し、中国仏教史研究から浄土教研究、朝鮮史研究など広範かつ膨大な功績をまとめあげ、その偉業によって知られる博士の全貌を明らかにする。 【各巻内容】
<編集委員> (50音順)
<牧田諦亮先生の略歴>
【牧田諦亮著作集 刊行にあたって】 落合俊典 近代における中国仏教の研究は湯用彤(1893~1964)の『漢魏両晋南北朝仏教史』(1938)にはじまり、塚本善隆(1898~1980)、牧田諦亮(1912~2011)、鎌田茂雄(1927~2001)と錚々たる碩学が功績を残している。塚本善隆博士は、それまで仏教教団内部の資料によって記述されてきた旧来の仏教史を、正史や金石資料はもとより日本に残存する豊富な写本を駆使して余人の追随を許さない学問的世界を開拓された。 その側で、そして共に歩んで来られたのが牧田諦亮博士である。塚本先生の轍を進みながら、仏教写本の調査を精力的に行い、その足跡は国内はもとより広く海外にまで及んでいる。パリではペリオ本を調査し、ロンドンではスタイン本を調べている。やがて敦煌写本に数多く見られる疑経に着目され、京都大学人文科学研究所の報告書として『疑経研究』(1976年)を上梓され、世界における疑経研究の開拓者として不動の地位を築かれた。博士の研究は疑経にとどまらず中国仏教史研究から浄土教研究、そして古典籍蒐集で著名な知恩院第七五代養鸕徹定の伝歴などを明らかにされた。 青蓮院所蔵の写本を用いて研究された『六朝古逸観世音応験記の研究』では百済国滅亡の時期が確定し朝鮮史研究に貢献されている。また日本の七寺一切経から発見された古逸経典の研究に当たっては、精力的に陣頭指揮を執り叢書の刊行に導いている。 本著作集には牧田諦亮博士の著述の過半を収録しているが、実は博士はこのほかに『弘明集研究』(京大人文研)や『宋高僧伝』(国訳一切経)等の膨大な訳注にも携わってる。それらは本著作集には収めなかったが、研究活動の幅の広さが窺い知られる。 最後に、牧田先生の研究内容が把握できる著作集の刊行は、多くの研究者から希求されていたことであり編集委員一同誠に歓喜に堪えないところである。この企画を実現に導いた臨川書店の勇断を嘉とし、広く江湖に知れ渡ることを切望するばかりである。 |
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