近世仏教資料叢書 全6巻 ≪2024年8月刊行開始!≫ 【呈内容見本】 【各巻内容】 刊行にあたって 監修者 末木文美士・引野亨輔 これまで日本の仏教史研究においては、いわゆる鎌倉新仏教を最高峰とみなし、対照的に近世仏教を権力に屈服した堕落形態とみなす歴史観が強くあった。そのようなイメージは近年大いに書き換えられつつあるものの、近世仏教研究を志す者にとって、出発点となり得る基礎的な資料集が不足していることは否定できない。商業出版が成立した江戸時代には、膨大な量の仏教書が刊行されたため、資料集の素材は十分過ぎるほどにある。しかし、そこから有効な分析の切り口を見付け出すことはなかなか難しい。そこで、今回刊行する『近世仏教資料叢書』では、江戸時代人なら当たり前のように読んでいた刊行仏教書を多く取り上げ、それらが社会のなかで果たしていた役割の解明に努めた。江戸時代は、難解な仏教概念や世界観が、書物知を通して民衆世界にまで浸透していった時代といえる。そこで、本シリーズの各巻では、これまで研究素材となる機会が少なかった江戸時代の仏教書に対して明快な意義付けを行い、近世仏教研究のさらなる活性化を目指したい。 |