山田慶兒著作集 全8巻

≪2021年4月刊行開始!≫ 【呈内容見本】  3ヶ月毎配本予定

『山田慶兒著作集』編集委員会 編

菊判上製・函入・各巻平均400ページ
各巻予価 税込14,300円(本体13,000円+税)(分売可)
 ISBN978-4-653-04600-4(セット)

 東アジア科学の総体あるいは個別理論に対して個性的な研究を展開し、思想史的アプローチによって科学文明の本質を探り続けた山田慶兒。単行本未収録の論文から未発表原稿まで、氏の学術的業績の全貌と魅力を明らかにする。主要著作は著者による補記・補注を加えそれぞれ定本とし、各巻に解題・月報を付す。

【各巻内容】
第1巻 自然哲学T  税込14,300円(本体13,000円+税)
第2巻 自然哲学U
第3巻 天文暦学・宇宙論  税込15,400円(本体14,000円+税)
第4巻 中国医学思想T
第5巻 中国医学思想U
第6巻 科学論(近世篇)  税込15,400円(本体14,000円+税)
第7巻 科学論(近代篇)/欧文
第8巻 補遺・講演録

<編集委員> (50音順)
新井晋司 同志社女子大学非常勤講師
川原秀城 東京大学名誉教授
小林博行 中部大学教授
武田時昌 京都大学名誉教授
平岡隆二 京都大学人文科学研究所准教授
馮 錦榮 香港大学教授

<編集協力> (50音順)
猪飼祥夫 猪飼鍼灸院長
真柳 誠 茨城大学名誉教授

<山田慶兒先生の略歴>
 1932年福岡県生まれ。京都大学理学部宇宙物理学科卒業。同大学院文学研究科修士課程修了(西洋史学専攻)。専門は東アジア科学史。京都大学人文科学研究所教授、国際日本文化研究センター教授、龍谷大学客員教授等を歴任。第15回大佛次郎賞、第1回A. L. Basham Medal、第13回技術科学図書文化賞、矢数医史学賞、京都新聞社大賞学術文化賞などを受賞している。


●●山田慶兒著作集の刊行に寄せて●●

東京大学名誉教授 川原秀城

 今回、臨川書店が『藪内清著作集』につづいて『山田慶兒著作集』を刊行する。両著作集の刊行は世界の科学史家や東アジア研究者にとって、得がたい贈物である。
 そもそも近現代科学は、17世紀ヨーロッパの科学革命を経て成立し、文明統体を新しい段階へと導き、現在もなお加速度的に発展/進化しつづけている。確かに短いタイムスパンをとれば、自然科学は西欧文明に直結し、西洋科学と単称すべきかもしれない。だが世界文明の発展を通じてみれば、それは人類共通の学術文化の性格を強くあらわす。文明史の長大なタイムスケール下では、西欧単独の産物ではなく、大河の流れ のごとく世界の複数の源流から出た厖大な科学知識が、長い時間をかけて複雑な化学反応を起こして、創りだされたものと理解しなければならない。重要な科学の源流としては西欧・アラビア・インド・中国などがあるが、特に西欧と中国の科学交流のばあい、西から東へ伝わったものと、東から西へ伝わったもののバランスシートをつくれば、中国が与えたもののほうがはるかに多い。真の科学史は近代的な方法論のみに注目し西洋の事象を追うだけでは成りたたないのである。
 日本の近代的な科学史研究は地政学的なこともあって、早くからそのことを認識した。かくして中国/東アジア科学を専門的に解析する研究が世界に先駆けて起こり、新城新蔵先生以来、数多くの価値ある論考を生みだした。それら研究は藪内清と山田慶兒の両先生にいたって、大きく飛躍した。藪内先生のインターナルな精密科学研究および、山田先生のイクスターナルな科学思想史・科学社会史研究がそれである。前者は 論証の正確さを誇り、世界の中国科学史のフレイムワークをさだめ、後者は視座を転換し、文明における科学の意味やその思想・制度などを明らかにしている。
 山田先生の科学思想史・科学社会史研究は東アジア科学を分析対象とした思想史・社会史であり、あるいは科学史と思想史、科学史と社会史の架橋とのべることもできる。論考/論述の特徴は、科学と哲学が未分化の時代、科学命題は哲学のターミノロジーによるとし、数式など現代的な科学用語の使用を自制し必要最低限にしたところにある。人文系の中国学に接近し、その不足をよく補完している。広いサーキュレーションをもつゆえんである。
 『山田慶兒著作集』は先生に親しく接してその薫陶を受けた研究者たちがそれぞれ一巻を担当し、編集・解説する。著作集によって多くの読者が先生の仕事に親しみ、科学技術文明への理解を深められんことを期待して止まない。



●●世界のひろがる著述群●●

国際日本文化研究センター所長 井上章一

 今、研究者は、いわゆる審査論文の数で評価されるようになっている。しかるべき学会のレフリーが良いとみとめた論文を、どれだけ書いてきたか。その点数をくらべる趨勢が、理科系のみならず、人文学にもおよびだしている。
 いきおい、若い研究者は自分が投稿をこころみる学会誌の傾向に、気をとられる。研究史をながめわたし、その延長上へ自分の居場所を見つけることになりやすい。けっきょくは、学会の鋳型にはまる、こじんまりした研究を、してしまいがちである。
 山田慶兒は、しかし研究史にとらわれたような仕事を、まったくしてこなかった。テーマは、自分の好奇心がほりあてたそれに、しぼっている。アルキメデスのユリイカがほうふつとしてくるような発見を、重んじた。研究史への配慮がしるされることもあるが、たいてい事後的な補足であるにとどまる。
 データの読みこみと理にかなった解析を、ひたすらおいもとめた。そんな山田慶兒の著作を、とりわけ若い人文学徒に読んでもらいたい。あつかうテーマはちがっても、世界がひろがることを、うけあおう。

●●山田慶兒著作集の出版を喜ぶ●●

東京大学教授 橋本毅彦

 学問を学んでいて「ああ、こんな見方があるのか」と感心することがある。新しい見方を知り、雑然としていたことがらが見事に整理される。山田慶兒先生の本や発言には、そんなキラッと光るアイデアが満ちている。例えば元代の新暦作成を説いた『授時暦の道』。そこでは主役の天文学者郭守敬の観測精度を究めんとする活動ばかりでなく、具体的な試験問題も含め制度や教育体制などが手際よく説明される。また共著で執筆なさった『復元水運儀象台』。11世紀に設計され諏訪の地に復元された儀象台の技術的分析とともに、先生の丹念な歴史的解説に一読して興味が湧き再読して深く感銘した。
 先生の研究範囲は多岐にわたり、中国の天文学から医学、本草学、自然哲学の歴史に広がり、さらに西洋科学の歴史にも及んでいらっしゃる。広大な東洋の科学史の世界を明快に解き明かし、そこにヒントやアイデアを散りばめた作品群、それが先生の著作集である。著作集の刊行を心から喜ぶとともに、学問の歴史、世界の歴史に関心をもつ多く方々にご推薦申し上げる次第である。

 

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