気候変動から読みなおす日本史
全6巻

≪2020年9月刊行開始!≫ 【呈内容見本】

中塚 武監修
A5判上製・平均300頁
各巻定価 税込3,960円(本体3,600円+税)
 ISBN978-4-653-04500-7(セット)

―気候変動は、確かに歴史を左右していた―
 古気候データと文献史料や考古資料の詳細な対比が生み出す、気候と歴史の関係についての最新成果。新しい歴史学研究の一分野を開く画期的研究。
 総合地球環境学研究所(地球研)のプロジェクト『高分解能古気候学と歴史・考古学の連携による気候変動に強い社会システムの探索』にて、過去数千年間にわたる年単位での高精度気候復元の最新の成果をもとに、古気候学・歴史学・考古学が連携し、気候と歴史の関係を解明する。

【各巻内容】

第1巻 新しい気候観と日本史の新たな可能性
第2巻 古気候の復元と年代論の構築
第3巻 先史・古代の気候と社会変化
第4巻 気候変動と中世社会
第5巻 気候変動から近世をみなおす―数量・システム・技術
第6巻 近世の列島を俯瞰する―南から北へ


内容見本(PDF)


【刊行のことば】        中塚 武(名古屋大学大学院教授)

 国際的な食糧の流通などがなかった前近代の日本では、気温や降水量の変動が農業生産力の増減を介して、地域社会の政治・経済・文化に大きな影響を与えていたのではないか、という議論は、これまでにもたくさんあった。しかしその多くは、過去の気候変動に関する知識の制約から不完全で曖昧なものにとどまってきた。総合地球環境学研究所(地球研)のプロジェクト『高分解能古気候学と歴史・考古学の連携による気候変動に強い社会システムの探索』では、過去数千年間にわたる年単位での高精度気候復元の最新の成果をもとに、多数の古気候学者と歴史学者、考古学者が一堂に会して、気候と歴史の関係の解明に正面から取り組んできた。本シリーズは、その最初の報告である。「歴史と気候の関係の解明のために異分野の研究者が文理の壁を越えて協力する」ということは、正に「言うは易く行うは難し」であった。しかし、だからこそ本シリーズは、世界でも全く類例を見ない最先端の驚きに満ちている。古気候データと文献史料や考古資料の詳細な対比は、気候と歴史の関係について次々と新しい発見を生み出しつつある。気候変動は、確かに歴史を左右していたのである。
 本シリーズは、日本史の背景を成すあらゆる要因に興味を持つ一般の方々や、理系の研究者・学生の方々にも、是非お読み頂きたいが、とりわけ歴史学と考古学の研究者及び学生の皆さんには、以下の点から特にお勧めしたい。本シリーズには最新の古気候データが満載されており、今後、歴史学・考古学の研究を進めていく上で、正に必携のものになる可能性がある。本シリーズの随所にみられる高精度古気候データと文献史料・考古資料の対比の試みは、気候変動が政治・経済・社会・文化にどのような影響を与えるかについて考察を進めていく上で、大きなヒントになるに違いない。それは、地球温暖化などの現代の諸問題と歴史学・考古学が今後連携を深めていく上でも、格好の研究対象になりうる。本書を手に取られた皆さんの中から、新しい歴史学・考古学の研究が芽吹いていくことを期待してやまない。

 

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