王朝時代の実像 全15巻 天皇家から都市民にいたる王朝時代を生きた人々と、その社会・文化の実態にせまる新シリーズ。巻ごとのテーマに沿って各分野の第一線で活躍する執筆陣が平明に解説。従来の歴史観を越えて、新たな王朝時代史像を構築する。
3か月毎各回1〜2冊配本予定 *は既刊、◎は次回配本 *1 王朝再読 *2 京職と支配 平安京の行政と住民 *3 病悩と治療 王朝貴族の実相 4 宗 教 信仰の周縁と俗信 上野勝之 著 *5 陰陽道 術数と信仰の文化 6 女 性 東海林亜矢子 著 7 情報伝達 朝廷儀礼の継承の実態 重田香澄 著 8 国府と郡家 東 真江 著 9 装 束 平安貴族の衣の復元と着用 奥川一臣(承香院)著 10 宮廷儀礼 儀式が語る貴族社会 末松 剛 著 11 土地制度 条里と検田 服部一隆 著 12 平安京と鴨川 久米舞子 著 13 古代の親王・内親王 岩田真由子 著 14 美 術 仏・神・人のすがた 山岸公基 著 ◎ 15 中世の王家と宮家 皇子たちの中世
国際日本文化研究センター教授 倉本一宏 平安時代には腐敗した貴族が天皇を蔑ろにして京都で遊び呆けており、それに対して草深い関東の原野から農民が武器を取って立ち上がって武士になり、平安貴族を打倒して輝かしい中世の武家社会を建設した(「いい国作った」)という歴史観は、すでに克服されて久しい。 豊潤な実像に迫る叢書 歴史小説家 澤田瞳子 平安時代ほど、あらゆる年代の人々が長らく共通のイメージを抱き続けている時代は珍しいかもしれない。本シリーズは、貴族は怠惰で猟官に明け暮れ、女性は歌を詠みながら男の訪れを待つばかり―と思われがちな時代の実像に、社会的、文化的、様々な側面から迫らんとする野心的な叢書。そして一度既存のイメージを取り払えば、史料から立ち上がる王朝時代の実像は驚くほどエネルギッシュで、変化する時代に適応せんとする柔軟性に満ちている。もともとこの時代に関心がある方はもちろん、平安時代はぬるま湯のようでつまらぬと感じている方にも是非手に取っていただきたい。そこに広がる時代の豊潤さが必ずや、知の喜びに満ちた驚きを与えてくれるはずだ。 お茶の水女子大学名誉教授 古瀬奈津子 王朝時代すなわち平安時代というと、『源氏物語』を思い起こす方が多いかもしれません。実際、王朝時代については、従来は文学的研究が盛んで、歴史学的研究は、一九八〇年代から活況を呈するようになったと言えるでしょう。その内容は、初めは宮廷の儀式や政務について、また、宮廷を経済的に支えた受領などの研究が多く行われました。しかし、その後、都だけではなく地方や対外関係について、仏教など宗教や精神的な分野、そして病気などへと関心は広がっていきました。本シリーズにおいては、それら研究の進展について紹介されています。是非とも、新しい王朝時代像を味読していただければと思います。 国際日本文化研究センター所長 井上章一 いわゆる女房文学に、少しなじみがあるせいでしょうか。平安時代のお公家さんには、遊び好きという印象をいだきます。歌や舞、そして色恋沙汰にうつつをぬかしている。そんなイメージが、ぬぐえません。 |