中世禅籍叢刊 全12巻・別巻1巻

≪2019年9月 全巻完結!≫ 【呈内容見本】

中世禅籍叢刊編集委員会 編
(編集委員)阿部泰郎・石井修道・末木文美士・高橋秀榮・道津綾乃

菊判上製・函入・各巻平均650ページ
ISBN978-4-653-04170-2(セット)


真福寺と称名寺に所蔵される禅籍を中核として、その他寺院・文庫などに現存の貴重写本を併せて約70点を収録。影印・全文翻刻に、解説を付し掲載する。各機関の所蔵資料を横断的に紹介することにより、従来見えてこなかった中世禅の新たな性格が明らかになると期待される。仏教学、国文学、日本史学など、諸分野にわたって画期的な意味を持つ待望の資料叢刊である。

【各巻収録内容】
第1巻 栄西集  改偏教主決 重修教主決・結縁一遍集・釈迦八相・胎口決・栄西自筆文書・法華経入真言門決 税込16,500円(本体15,000円+税)
第2巻 道元集
 示了然道者法語・真字正法眼蔵・正法眼蔵山水経・大悟・嗣書・正法眼蔵十方 ・羅漢講式・宝慶記・御遺言記   税込19,800円(本体18,000円+税)
第3巻 達磨宗 
達磨図(諸本)・禅家説・成等正覚論・正法寺文書(旧三宝寺文書)・広福寺伝衣付嘱状・悟性論・達磨和尚観心破相論・血脈論・達磨和尚秘密偈・兼知死期秘法(諸本)・小経蔵目録   税込22,000円(本体20,000円+税)
第4巻 聖一派 
秘経決・東寺印信等口決・灌頂秘口決・禅宗九根機口決・仏通禅師行状・ 十宗要道記  税込24,200円(本体22,000円+税)
第5巻 無住集 
聖財集・逸題無住聞書     税込18,700円(本体17,000円+税)
第6巻 禅宗清規集  
禅苑清規・瑩山清規・入衆日用・坐禅儀     税込20,900円(本体19,000円+税)
第7巻 禅教交渉論 
渓嵐拾葉集・七天狗絵(詞書)・顕密問答鈔・ 教月要文集・ 雑要鈔 第三・ 真禅融心義 下・ 真禅融心義・ 瑜伽伝心鈔      税込27,500円(本体25,000円+税)
第8巻 中国禅籍集 一 
金剛経解義・一体同観分・金剛般若讃     税込19,800円(本体18,000円+税)
第9巻 中国禅籍集 二 
六祖壇経・ 牛頭山初法融禅師信心銘・ 頓悟入道要門論・ 明州大梅山常禅師語録・ 香厳頌・ 裴休拾遺問・ 勧発菩提心文    税込23,100円(本体21,000円+税)
第10巻 稀覯禅籍集 
見性成仏論・覚性論・百丈禅師広説 法門大綱・宗鏡録要処・ 養心抄・禅宗法語・明心・正法眼蔵打聞・ 禅門詩文集・嘉泰普灯録・舎利礼文・宋人参詣医王山之時礼拝文・ 伝心法要    税込30,800円(本体28,000円+税)
第11巻 聖一派 続 
菩提心論随文正決・大日経疏住心品聞書・安養寺流印信 税込27,500円(本体25,000円+税)
第12巻 稀覯禅籍集 続 
大日経義釈見聞(巻七・巻九)・瑜祇経見聞第一・三宝院灌頂釈・密宗超過仏祖決・結縁一遍集(増補再録)・逸題無住聞書断簡(補遺)・宗鏡録注解断簡・禅祖頌・厭世論・心性罪福因縁集 品 切
別巻 中世禅への新視角 『中世禅籍叢刊』が開く世界 税込19,800円(本体18,000円+税)

【本文見本(影印篇)】

【本文見本(翻刻篇)】

【推薦のことば】

知られざる禅籍の群れ    (公・財)禅文化研究所長 西村惠信

 現代禅学の権威が編集者となって、『中世禅籍叢刊』全十巻を刊行するという。鎌倉時代この国の仏教者たちは、あの称名寺の例に見るように、真言律の中へ民族古来の神道をも兼修する「密教神道」のような教理的混淆を経験していた。寺の経蔵には、宋国から将来されたばかりの禅宗を知ろうとする意欲を示す資料が、汗牛充棟している。
 同じ真言宗の真福寺がまた、この点においていっそう進取的であったことは、真福寺文庫に蔵されている一万五千巻におよぶ仏教各宗の典籍群を見ればよい。あまつさえ真福寺は、人々に「禅密兼修の道場」とさえ言われたのだ。
 近世になって起こった仏教各派の教理復古運動は、これら中世の諸宗兼学という寛容の思想を希薄化させ、その後の日本仏教研究を妨げた。
 しかるに今、先進的な禅学研究者たちが、これら寺院の筐底に眠る貴重な遺産のなかから禅宗関係の資料を抽出して白日の下に置くことは、画期的といえよう。
 筆者は禅の思想研究を主題としてきたから、いわば書誌学の門外漢である。それにしてもこれ程多くの禅籍の、題簽さえ知らなかったことを、恥じるばかりである。大いに刊行の日を待ち望むや、切なるものがある。


中世禅籍叢刊の刊行に期待する   神奈川県立金沢文庫長 永村 眞

 神奈川県立金沢文庫には、称名寺に伝来した一万三千点をこえる天台・真言・華厳・法相・律・浄土など諸宗の仏書が保管されています。その中にあって禅宗関係の仏書(禅籍)は三十余点を数えるのみで、量的には決して多いとは言えません。しかし称名寺の発展に尽力した北条顕時が禅宗に帰依したこともあり、禅僧との接触をもった同寺の第二世釼阿の手になる「小経蔵目録」(第十巻所収予定)には、更に多くの禅籍がその書目をとどめています。しかも金沢文庫の禅籍には、他に類を見ない貴重な仏書が見られ、その一部は『金沢文庫資料全書』禅籍篇(昭和四九年)として刊行されました。
 このたび仏教学研究をリードする編集委員五氏の手で、全十巻の『中世禅籍叢刊』が刊行されることになりました。とりわけ名古屋真福寺と称名寺に伝わる禅籍が相互に深い関係をもつこと、また鎌倉時代の前期に大日能忍が創始したとされる「達磨宗」が、具体的にはいかなる実態をもつものか等々を語る、禅宗史研究にとって見過ごすことのできない禅籍が、本叢刊には数多く収められています。諸寺に伝来する数多くの禅籍のなかで、称名寺の禅籍がもつ価値を改めて知る上でも、本叢刊の刊行を大いに期待する次第です。


中世禅籍叢刊に期待する  成城大学教授・東京大学名誉教授 小島孝之

 今望み得る最高の権威の編集による『中世禅籍叢刊』が、『真福寺善本叢刊』などの出版の実績を持つ臨川書店から刊行されるという。真福寺、称名寺の所蔵にかかる禅籍を中核として、その他の寺院・文庫等に現存する貴重な写本を併せて出版するということである。そこには、新たに発見された貴重な資料が多量に含まれている。その意義の大きさは計り知れまい。
 先に刊行された『真福寺善本叢刊』の調査の中で栄西や無住の新発見資料があるということを聞き知る事ができたので、その全貌の一日も早い紹介を待ち望んでいた。今回の企画により、それらが影印によって公開されるというからまことに嬉しい限りである。
 私は昨年、今回の編者のお一人でもある阿部泰郎氏たちとともに、無住の七百年遠諱記念の論集として「無住 研究と資料」を刊行したが、その際、収録することができなかった重要な資料が、今回すべて含まれ、「無住集」が全十巻の内の一巻を占めるというから、無住研究の立場から見ても実に画期的である。
 編集に当る方々は私のかねて畏敬する碩学であり、斯界の最高権威である。その期待は弥が上にも大きい。

 

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